男性育休を取りたい。でも、こんな不安が頭をよぎっていませんか。
- 評価が下がったり、出世に響いたりしないか
- 職場にしわ寄せがいって、迷惑をかけないか
- 周囲から白い目で見られないか
- 育休から戻った後、仕事に居場所がなくならないか
男性育休は、仕事や職場に関するデメリットや不安がないとは言えません。
私自身、2017年に男性の長期育休の前例がない職場で6か月の育児休業を取得しました。この時は、育休を申し出た直後に人事異動も経験しています。
先に結論をお伝えすると、男性育休による仕事や職場でのデメリットをゼロにすることはできません。でも、事前の準備と伝え方によって、小さくすることはできます。
この記事では、国家資格キャリアコンサルタントである私が、6か月の育休取得を通して実際に感じた仕事・職場でのデメリットと、その対処法をお伝えします。
「男性育休を取りたいけれど、仕事への影響が心配」という方の参考になれば幸いです。
なお、育休中の収入や取得期間については、こちらの記事で詳しく解説しています。
▶ 男性育休は何か月がおすすめ?6か月取得したキャリアコンサルタントが期間の決め方を解説
仕事・職場で起こりうる男性育休のデメリット
評価やキャリアに影響するのではないか
男性育休を考えるとき、もっとも気になるのが「評価が下がるのでは」「昇進に響くのでは」という不安ではないでしょうか。
特に長期育休の場合、長く仕事を離れることで、担当していた仕事を別の人が引き継いだり、復職後に以前とは違う仕事を任されたり、人事異動の時期と重なったりすることがあります。
私自身、6か月の育休を取得した際に、人事異動を経験したことがあります。当時の私は大学職員で、入試広報の部署で仕事をしていました。
妻が妊娠安定期に入ってすぐ、上司に6か月の育休を申し出ました。入試広報の繁忙期だったため、「こんなに忙しいのに?」と言われる覚悟をしていたのですが、返事は意外にもあっさりOK。
ほっとしたのも束の間、続けて上司からこう告げられました。
「別の場所に異動してもらうから」
さらに育休に入る数日前には、「育休復帰後は、別の部署に異動してほしい」とも告げられています。
最初からその予定があったのかは分かりません。ただ、当時の私は係長でした。役職の有無にかかわらず、正社員が半年抜けるとなれば、組織としては人の配置を考え直す必要があります。私の育休取得が、少なからず異動に影響したのではないかと考えています。
新しい勤務地は転居の必要がなく、業務内容もほぼ同じでした。12年間お世話になった職場を離れる寂しさはありましたが、この転機をチャンスと捉える自分もいました。
ここで重要なのは、育休を取ったことを理由に不利益な扱いを受けることと、長く職場を離れた結果として担当業務や役割が変わることは、別の問題だという点です。
育児・介護休業法では、育休の申出や取得を理由とした解雇や降格、昇進・昇格の人事評価で不利に扱うことなどを禁止しています。困ったときは都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)などに相談できます。
一方で、長く職場を離れることで、担当業務や組織の状況が変わることはあります。
「育休を取ればキャリアに必ず悪影響がある」ということではありませんが、長期離職によって仕事や役割が変わる可能性は考えておいたほうがいいでしょう。
職場に負担をかけ、気まずくなる
長く休めば、その間の仕事は誰かが担うことになります。
担当業務が多い、自分しか分からない仕事がある、少人数の職場、繁忙期と重なる――。
このような状況では「職場に迷惑をかけるのではないか」と感じやすいのではないでしょうか。
私も異動先に着任した時点で「5か月後に6か月抜ける人」でした。着任挨拶も、決意表明というより申し訳なさが先に立つ内容になったと記憶しています。
周囲の目が気になる
「男性なのに、そんなに長く休むの?」
そう思われないかと、周囲の目が気になることもあります。
特に、男性の長期育休に前例がない職場では、「自分だけ長く休んで大丈夫だろうか」と不安になりやすいでしょう。
私も妻が妊娠安定期に入るまでの数週間は、職場に妊娠も育休の予定も伏せていました。会議で次年度の話題になるたびに、「その時、私はもうここにいない」と頭をよぎりました。
育休を取ると決めているのに、そのことをまだ周囲に伝えられない状態で働くのは、想像以上に精神的な負担がありました。
もちろん、職場の反応は人それぞれです。育休取得を歓迎してくれる人もいれば、仕事の負担や人員配置を心配する人もいるでしょう。
すべての人が同じように受け止めてくれるとは限らないという点は、男性育休を考えるうえで知っておきたいことの一つです。
復職後の仕事が不安になる
数か月仕事を離れると、「以前と同じように働けるだろうか」「職場の変化についていけるだろうか」と心配になることもあります。
育休中に担当者が変わったり、新しい業務が始まったり、職場の人間関係が変わったりする可能性もあります。
また、育児や家事を経験したことで、自分自身の仕事に対する考え方が変わることもあります。
そのため、復職後に以前とまったく同じ働き方に戻れるとは限りません。
これは男性だからというより、長期間仕事を離れることに伴う変化や不安と考えたほうがよいでしょう。
男性育休のデメリットを小さくする5つの対処法
ここまで、男性育休を取ることで仕事や職場に起こりうるデメリットを紹介しました。
では、これらのデメリットをできるだけ小さくするには、どうすればよいのでしょうか。
私自身の6か月の育休経験から、特に大切だと感じたのが次の5つです。
- 申し出は早めに、はっきりと伝える
- 育休期間や復職日を書面で確認する
- 育休までに仕事を整理し、周囲を支える
- 引継ぎは「引継書+口頭」で行う
- 育休の連絡はメールと対面の両方で行う
申し出は早めに、はっきりと伝える
法律上、育休の申し出は原則として休業開始の1か月前までです。2022年10月に始まった産後パパ育休(子の出生後8週間以内に取れる育休)は、原則2週間前までとされています。
ただし、これはあくまで法律上の申出期限。業務の調整や引継ぎを考えると、職場には早めに伝えたほうが、お互いの負担を小さくできます。
なお、2022年4月からは、本人または配偶者の妊娠・出産等を会社に申し出ると、会社には育児休業制度の個別周知と、取得意向の確認が義務付けられています。
私が育休を取った2017年当時にはなかった仕組みで、前例のない職場でも以前より相談しやすくなっています。
私は妻と相談し、妊娠安定期に入ったらすぐに申し出ると決めていました。異動前に申し出ていたおかげで、育休の件は新しい上司にすでに引き継がれていました。
言いにくいことほど、先延ばしにするほど言いにくくなります。早く伝えることは、自分の選択肢を守ることにもつながります。
▶ 「男性育休取りたい」職場や上司への育休相談や申出は、いつ、どのタイミングで言う?
育休期間や復職日は書面で確認する
育休の期間、復職日、必要な手続きは、口頭だけで済ませず書面で確認しましょう。
私は育児休業申出書を提出した際、育児休業取扱通知書も入手し、記載内容を総務の担当者と一緒に確認しました。
前例のない職場では、担当者も手探りで手続きを進めることがあります。
だからこそ、「自分はいつからいつまで休むのか」「いつ復職するのか」を書面で確認しておくことが大切です。
自分と職場との認識をそろえておけば、後から「聞いていた話と違う」というトラブルも避けやすくなります。
育休までに仕事を整理し、周囲を支える
育休開始までの期間は、目立つ成果を上げることだけを考えるのではなく、自分がいなくても仕事が回る状態をつくることをおすすめします。
私は異動先で、まず同じ部署の職員から仕事の現況や課題など、話を聞くことを意識しました。
自分のやり方を押し付けるのではなく、その職場の仕事の進め方や流儀などを知ることを優先し、頼まれた仕事にもできる範囲で対応しました。
育休までの期間が限られているからこそ、上司と相談しながら、下記のことについて整理しておくとスムーズです。
- 自分が担当している仕事は何か
- 誰と関わっているのか
- どこまで自分が対応しておくべきか
- 何を誰に引き継ぐ必要があるか
育休までの期間は、周囲との信頼関係をつくりながら、後に残す仕事を整理する期間と考えるとよいでしょう。
引継ぎは「引継書+口頭」で行う
育休中に仕事の連絡が続くと、家事や育児に専念しにくくなります。
育休の取得が決まったら、早めにスケジュールを立てて、育休開始日までに引継ぎを終えましょう。
私は以前、口頭だけの引継ぎで痛い目に遭った経験があったため、引継書を作ったうえで口頭でも説明しました。
引継書の作成は、これまでの仕事を棚卸しする絶好の機会にもなり、復職後のキャリアを考えるヒントにもなります。
▶ 仕事の引継ぎ、口頭のみで大丈夫?引継書を作成したほうがいいの?
育休の連絡はメールと対面の両方で行う
育休の連絡手段は、メールで関係者に伝えたうえで、特にお世話になった人や直接伝えておきたい人には、対面でも挨拶しておくとよいでしょう。
人それぞれ価値観が違うため、全員に同じように理解してもらうことはできません。
だからこそ、必要な人に必要な情報をきちんと伝え、感謝を言葉にしておくことが大切です。
育休前の丁寧なコミュニケーションは、職場への負担感を減らすだけでなく、復職後の人間関係を築くうえでも役立ちます。
挨拶の方法やメールの書き方は、こちらで詳しく紹介しています。
▶ 育休前の引継ぎや挨拶のポイント|挨拶はメール?対面?菓子折りは?
デメリットだけで育休を判断する必要はない
ここまで仕事や職場でのデメリットを紹介してきました。育休を取ることで仕事に一定の影響が出る可能性は否めません。
一方で、私自身が6か月の育休を取得して感じたのは、仕事以外の経験が、その後のキャリアにもつながることがあるということです。
私が育休を取った目的は、主に次の3つでした。
- 夫婦で下の子と上の子の育児に、万全の態勢で向き合うこと
- 育児の合間に、今後のキャリアの方向性を妻とじっくり話し合うこと
- 前例のない職場に、男性の長期育休のモデルを示すこと
また、復職後は次のような効果を得られました。
- 復職後の新しい部署で、新しい人との関係づくりや仕事を覚える機会が得られた
- 家事や育児で培ったスキルを職場の様々な場面で活かせた
キャリアコンサルタントとして私が大切にしているのが、「ライフキャリア」という考え方です。仕事だけでなく、家事や育児、休養も含めて、自分の人生全体をキャリアとして考える視点です。
この視点に立つと、育休は仕事の空白ではなく、家族との暮らしの大切さを知り、家族全体のこれからを見直す機会と捉えることもできます。
これまでのキャリアに家事や育児の経験が加わることで、人生全体の視野が広がり、より充実した人生を築いていける。私はそう考えています。
まとめ:職場でのデメリットはゼロにできない。でも小さくできる
男性育休を取る際、仕事や職場での評価やキャリアへの影響、職場に負担をかける気まずさ、周囲の目、復職後の仕事への不安などのデメリットが気になることがあります。
私自身、育休の申出直後の異動も、周囲への申し訳なさを感じながら働いた時期も経験しました。
それでも、申し出のタイミング、書面での確認、育休までの立ち回り、引継ぎ、周囲への伝え方を工夫することで、デメリットを小さくすることができます。
そして育休を取るかどうかを決める前に、一度だけ考えてみてください。
あなたは、何のために育休を取りたいのでしょうか。
仕事への影響だけでなく、家族との時間や子育てへの関わり方など、「育休を取って何を実現したいのか」を考えて、自分の納得する答えが見つかることを願っています。
前例のない職場で、私がどのように育休を決断し、準備したのか。その全記録は『パパの育休宣言(準備編)』にまとめています。
相談という選択肢もあります
私はこれまで、実人数2,800名・7,100回以上のキャリア相談に携わってきました。そして私自身も、前例のない職場で、後ろめたさを抱えながら6か月の育休を申し出た一人です。
職場の雰囲気も、上司の考え方も、会社によってさまざまです。
もし、「私の場合、どう切り出せばいいんだろう」とお悩みの方は、一緒に解決策を考えることもできますので、お気軽にご相談ください。
