仕事中、電話が鳴ったらすぐに受話器を取り、相手の名前や用件を聞きながらメモを取り、取次相手にそのメモを渡す。
多くの方が経験するこの業務、中には苦手な方もいるのではないでしょうか。
私自身も、聞きながらメモを取るのが大の苦手でした。
新入社員研修などでビジネスマナーの講師から、電話の内容は全文を正確にメモを取るよう教わったものの、実際にやってみるとパニックに。
聞くことに集中すると手が止まり、書くことに集中すると話を聞き逃す…。
そして、電話終了後、紙に書いたメモと思われる単語を見返しても、自分でも解読不能な単語の羅列に。
特に上司宛やクレーム対応となると緊張MAX。失敗を恐れて電話を取ること自体に苦手意識が生まれてしまいました。
いまだから言えますが、かつて私は、電話が鳴ったと同時に、取引先の会社に電話をかけるふりをしたり、わざと受話器を取る姿勢を見せつつ遅れて反応して、他の人に電話を取らせたりしたことがありました。
そんな私でも、今では「自分に合ったやり方」でかなり楽に対応できるようになりました。本記事ではそのコツをお伝えします。
著者プロフィール
キャリアリカバー代表。国家資格キャリアコンサルタント(登録番号16062528)
企業・教育機関・医療機関を対象に、キャリアコンサルティングや研修を行うほか、
個人向けには、キャリアカウンセリングやキャリアプログラムを提供。
現在は心療内科クリニックや大学で「キャリアデザイン」の講師として活動、
東京都健康長寿医療センター研究所では、キャリアコンサルタントとして孤立・孤独の予防の研究に従事。
これまでに6,600回以上のキャリア相談と700回以上の研修・セミナーを実施。
男性育休6か月や家事育児10年以上の経験、自ら転職7回、ニート2年、事業縮小による解雇経験もあり、実体験に基づいたアプローチを得意としています。
自分に合った「伝言メモ」を準備する
聞きながらメモが取れない原因を分析する
メモが苦手な背景には、いくつかの要因があります。
- 経験不足
- マルチタスクが苦手
- 注意がそれやすい
- 環境が整っていない
- 発達特性など
大切なのは「苦手だからできない」と決めつけないこと。実際、私が心療内科クリニックでキャリア支援を行っている際にも、「電話中のメモが苦手」という相談を多く受けます。
でも、そうした方の多くは「自分に合ったメモの取り方」を知らなかっただけ。やり方を一緒に見つけて、練習を重ねていく中で、「あ、自分でもできるかも」と手応えをつかんでいかれます。
ご自身に合った具体的な解決策を知りたい方は、自分の特性や強みを把握できるキャリアカウンセリングのサービスの活用もご検討ください。
本ブログの著者が執筆した書籍、『パパの育休宣言 ―育休で実現するキャリアアップ戦略(準備編)』が、Amazonランキング1位を獲得しました。6か月間の男性育休を取得したキャリアコンサルタントが、職場での育休の伝え方や、収入対策、夫婦の話し合い方など、育休準備のリアルとノウハウを綴った一冊です。
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すぐにメモを取れる工夫を
電話が鳴ってから慌ててメモ用紙を探す…あるあるですよね。
できれば、受話器を取ると同時にメモができるよう、手の届くところにメモ用紙を置いておきたいものです。
しかし、他の仕事が舞い込んでしまいマルチタスク状態になってしまうと、その仕事の書類にメモ用紙が埋もれたりするなどして、いつの間にかメモ用紙がどこかにいってしまうことも。
私も以前そのような環境で電話を取ったことがあり、その時は慌てて近くに置いてある書類の裏にメモをしました。
電話を切ってその書類を見返すと、それが重要書類だったこともありました笑
机の上のメモ用紙が行方不明になってしまいがちな方は、いざという時にメモ用紙を取り出せるよう、電話の近くに設置するだけでなく、机の前面の引き出しにも入れておくとよいでしょう。
メモ用紙が定位置かつ2か所にあれば、電話が鳴る→電話を取る→机上にメモがない→机の引き出しからメモを取り出す→メモを取る、といった具合に慌てずにメモを取ることができます。
テンプレートで時短&聞き漏らし防止
メモ用紙は、裏紙を使う方もいれば、会社が用意した日時や用件、電話番号などの項目があらかじめ印字されたテンプレート付きメモ用紙を使っている方もいるでしょう。
テンプレート付きメモ用紙は、必要事項をテンプレートの項目に沿って埋めていくことができるので、相性が良ければ便利なツールです。
しかし、私のように、テンプレートの項目を埋めることに気を取られてしまい、逆に上手くメモを取れなかったり、相手の話を聞きそびれたり人もいるのではないでしょうか。
そんな時は、通話中は白紙にメモを取り、あとでテンプレート用紙に清書する方法も有効です。
聞きながらメモを取るポイント
文章化は後回し。まずはキーワードのみを抽出
全文メモを取るのが苦手な方は、相手の話を一言一句書き取ろうとすると、聞くこと・書くことの両方で頭がいっぱいになり、結果的にどちらもうまくいかないことが多いです。ゆっくり話してくれるならまだしも、早口な方の場合はなおさらハードルが高くなります。
そこでおすすめなのが、キーワードのみを抽出する方法です。
たとえば、電話メモの場合、
- 日時
- 相手の会社名・氏名
- 連絡先
- 伝言内容の要点
とのように最低限必要な情報だけを、単語でメモしておきます。
この方法なら、話の全体像を捉えられますし、あとから要点を清書するときにも思い出しやすくなります。
実際、「キーワードだけを拾うようにしたら楽になった」という声も多かったです。
ツールを活用してメモをもっとラクに
紙のメモに苦手意識がある方には、手書き対応タブレットやAI文字起こし対応のボイスレコーダーの併用もおすすめです。
手書き対応タブレットは、手書きでメモが取れるうえ、紙のように紛失する心配も少なく、書類との混同も防げます。
Amazon ペンタブレット一覧
などで探せます。
また、AI文字起こし対応のボイスレコーダーを使えば、会話中に要点を復唱しながら録音することで、あとから落ち着いてメモを整理しやすくなります。在宅勤務中の場合は、スピーカーモードで録音して文字起こしも可能です。さらに、会議の録音や議事録作成にも便利で、業務効率化をサポートしてくれます。
たとえば、
PLAUD NOTE
は、クリアな音質で最大30時間の連続録音が可能です。ノイズキャンセル機能も搭載しており、会議やインタビュー、電話の録音に最適です。
2025年7月現在、4.5以上のレビューがついていますので、興味のある方はチェックしてみてください。
6ヶ月で全世界5万ユーザー&12億円売り上げAIボイスレコーダー PLAUD NOTEこのようなツールを活用することで、「聞き逃し」の不安や「手が追いつかない」ストレスを減らすことができます。
流れや結論を導くときは記号をつかう
キーワードをただ並べただけだと、後から見返して意味が分からなくなることも。
そこで便利なのが記号の活用です。
私がよく使う記号は矢印です。矢印は、結論と理由の関係を表したり、メモを渡す相手に依頼したりする際に使います。
取次相手が近くにいる場合は、速やかにつなぐ
相手の話を途中まで聞いた時点で、取次ぐべき担当者が近くにいれば、無理に最後まで聞かず、速やかに取り次ぐことも大事です。
とくにクレームや複雑な案件は、先方の話が長くなりがちで、内容を正確に伝えるのが難しいため、直接やり取りしてもらったほうがスムーズです。
社名と名前、用件のみを聞き、速やかにつなぎましょう。
緊急時などは、いったん折り返す選択肢も
状況によっては、一度電話を切って折り返すという判断も有効です。
たとえば、緊急の仕事に追われていたり、複雑な内容が続きそうな時、無理にその場で対応しようとしても、うまくメモが取れない可能性があります。
そのような場合は、まず「社名・氏名・電話番号・取次先」だけをメモし、「確認してこちらから折り返します」と丁寧に伝えましょう。
伝言メモの清書のコツと注意点
メモしたキーワードを文章化して清書する
電話が終わったら、メモに残したキーワードをもとに伝言を清書します。
ここで意識したいのは、わかりやすさとスピードのバランスです。
まずは、メモした内容をそのまま全文にしようとせず、「誰が・いつ・どの件で・どうしてほしいか」などのように整理しましょう。
取次相手へ渡す清書用メモの例
○○課長
▲▲会社◆◆様よりTEL有
「9/13(火)15時のアポイントの件、
都合が悪くなった。
→9/20(火)15時に変更希望」
03-××××-××××
9/12(月) 13:35 ◎◎
テンプレートのメモ用紙を活用される方は、テンプレートに沿ってメモを仕上げます。
ここで重要なのが、完璧に文章化しようとしないことです。
正確に伝えようとしすぎるあまり、作文の時間が長くなると、他の仕事に支障が出てしまいます。
そのような場合は、箇条書き+口頭による説明にする方法や、上記のように社名と人名と連絡先のみをメモする方法もあります。
ただし、口頭のみの伝言は伝え間違いのリスクが高くなるので、メモを取ったうえで口頭で伝えることをおすすめします。
メモを清書したらすぐに取り次ぐ
メモを清書化する途中や清書化したメモを上司や同僚に渡す際、別の仕事が舞い込んでくることがあります。
この時、可能な限り、別の仕事に着手するのは一旦保留にして、先にメモを渡す業務を済ませてことをおすすめします。
別の仕事に着手すると、メモを渡す仕事を忘れる恐れがあり、メモの内容が急ぎの用件の場合、上司や同僚、顧客に迷惑をかけることになります。
簡単な仕事でもたくさん抱えると、後でまとめて処理する際、一つひとつ思い出しながら着手することから、逆に非効率になる可能性があります。
特にマルチタスクが苦手の方は、仕事を抱え過ぎないように気を付けましょう。
電話で聞きながらメモを取る業務はスキルアップのチャンス
メモの取り方を学べる書籍やサービスを活用する
メモの取り方は、一つの方法だけとは限りません。
上記でご紹介した他にもメモの取り方が紹介されている書籍を参考にしてもよいでしょう。
何冊もの本を探すのが面倒な方は、たとえば、下記のような電子書籍読み放題サービスに申し込めば、ビジネス経験豊富な様々な著者が書いた「メモの取り方」に関する書籍がまとめて読めるのでおすすめです。
定額読み放題サービス
-
BOOK☆WALKER「マンガ・雑誌読み放題」サービス
ビジネス書や実用書、マンガも含めて幅広く学べるKADOKAWAの電子書籍読み放題サービス -
Kindle Unlimited
初回30日間は無料体験あり。200万冊以上の書籍が読めるAmazonのサービス
どちらの読み放題サービスも、メモの取り方以外にも様々なビジネスに関するノウハウ本が読めます。
「書籍で体系的に学びたい」「たくさんの例を見て参考にしたい」という方には、こうしたサービスで気軽に情報収集するのも一つの方法です。
月に数冊の書籍を読む方は、読み放題サービスのほうがお得になる可能性が高いので、検討してみても良いかもしれません。
電話対応&メモの仕事はたくさんのメリットがある
このように、メモの取り方は多種多様です。
様々な方々のメモの取り方を参考にして、自分の特性やスキルに合ったメモの取り方を習得すると、スムーズな電話対応につながります。
「ここまでして電話を取る必要があるのだろうか」と疑問を抱いたり、苦手意識が先行して電話を取ることを躊躇することもあるかと思います。
しかし、電話の取次ぎをたくさんすればするほど、外部や内部の方々とのコミュニケーションや用件を要約する機会が増えるため、確実にビジネススキルがアップします。
特に、新入社員や転職して間もない方々は、仕事を覚えたり人間関係を円滑に築いたりする絶好のチャンスですので、失敗を恐れつつも率先して電話を取り続けることをおすすめします。
ネガティブになりがちな電話対応業務をコミュニケーション機会を増やすチャンスと捉え、仕事の時間が有意義なものになるといいですね。
電話でのメモが苦痛な場合は、環境を変えることも一つの方法
ここまで電話中のメモ作業について説明してきましたが、もしかしたら業務そのものが苦痛でしょうがないと感じる方もいるかもしれません。
その場合、以下のことを検討してみてください。
上司に相談してみる
苦痛な業務から逃げ出したいあまり、別の部署への異動したいという気持ちはよくわかります。
しかし、こればかりは会社の事情もあるため、非常に難しいかもしれません。
まずは、自分の担当業務やキャパシティについての困りごとについて共有したうえで、電話のメモ作業を軽減してもらい、代わりに他の業務の担当を与えてもらえるかどうか、上司に相談してみましょう。
転職も選択肢の一つ
自分で対策を講じても、上司に提案しても改善の見込みがない場合や、職場環境も変えられそうにないと感じるなら、他の職場を探すのも一つの方法です。
ただし、安易な転職はリスクが伴うため、転職で後悔したくない方は、まずは信頼できる友人や知人、第三者に相談することをおすすめします。
人材エージェントに相談する方法もありますが、転職を前提とした相談になってしまいますので、残留も視野に入れている方は、自分のキャリア人生に寄り添ってくれるキャリアカウンセラーに相談するとよいでしょう。
なお、本サイト運営のキャリアリカバーでは,、電話でメモを取るなどのマルチタスクに困っている方や、職場環境を変えて転職したいがどうしたらいいか分からない方のために、人生が好転するキャリアカウンセリングを行っています。
【まとめ】電話メモは工夫次第でグンとラクになる
電話対応や伝言メモは、慣れないうちは戸惑う場面も多いものです。
しかし、自分の強みや弱み、それに応じたポイントを押さえれば、無理なく対応できるようになります。
電話メモの取り方まとめ
- メモは全文でなく「要点」でOK
- 清書は完璧を目指すより「正確に伝える」が優先
- ボイスレコーダーやタブレットの活用も
- 書籍や読み放題サービスでスキルアップも可能
- 苦痛なら、上司への相談や環境を変えることも選択肢に
電話でのメモ対応は、小さなストレスの積み重ねになりやすい仕事です。
しかし、ちょっとしたコツや工夫を知っておくだけで、負担を減らすことが可能です。
自分のペースに合ったやり方で、ストレスフリーな電話応対を目指していきましょう!