妻の出産が近づくと、ベビー用品や入院バッグの準備に目が向きがちです。もちろん、それらも大切ですが、夫が忘れてはいけない準備があります。
それは、「いざという時に休める状態」をつくっておくことです。
「仕事中に陣痛が来たら、すぐに駆けつけられるだろうか」
「妻が急に入院したら、上の子の世話はどうしよう」
「急に休むことを、上司にどう伝えればいいのか」
そんな不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
出産は予定どおりに進むとは限りません。急な入院や、上の子の世話が必要になることもあります。そんな時、仕事を抜けられるかどうかで、夫ができることは大きく変わります。
私は2017年に第二子の誕生にあわせて6か月の育休を取りました。出産前には妻が切迫早産と診断され、出産予定日には健診中に破水して、そのまま入院しています。それでも慌てずに動けたのは、出産前から準備していたことがあったからです。
この記事では、出産に備えて夫がやっておくことを職場と家庭の視点から6つご紹介します。ベビー用品などの物の準備リストは多くの記事にあるので、ここでは働き方と休み方の準備に絞ってお伝えします。
職場の準備|出産前に夫が仕事を休める状態をつくる
有給休暇をストックし、勤務先の制度を確認する
妊娠中は、妻の体調の急変や健診の付き添いなどで、平日に休みが必要になることがあります。
ただ、男性には女性の産前休業にあたる制度がありません。育休についても、取れるのは原則として出産予定日からです。
そのため、それより前に休むときは年次有給休暇が頼りになります。会社によっては、配偶者出産休暇などの独自の休暇もあります。有給の残り日数とあわせて、勤務先の制度を確認しておきましょう。
私の場合、妻が第一子のときに切迫早産になり、医師から、切迫早産になりやすい体質なので、第二子以降も気をつけたほうがよいと言われていました。そこで、有給休暇を繰り越し分も含めて約30日分残しておきました。
実際に第二子の妊娠中も切迫早産と診断され、妻の体調に合わせて何度も有給休暇を使いました。もし休暇を使い切っていたら、急に休みが必要になったとき、仕事の調整に苦労していたと思います。
出産前は、急な事態に備えて有給休暇を残しておく計画も立てておきましょう。
上司に早めに共有し、育休も相談しておく
急に休む可能性があるなら、早い段階で上司に相談しておくと安心です。
私の場合、育休の申請とあわせて、第一子のときに妻が切迫早産になったこと、第二子のときも同じ可能性があることを上司に伝えていました。
そのおかげで、実際に休みが必要になったときも相談しやすかったと感じています。
上司に伝える際は、次の3点を整理しておくとよいでしょう。
- 出産予定日と、育休を取得したい期間
- 妻の体調などにより、予定外の休みが必要になる可能性
- 自分が不在のときの業務の引き継ぎ先や対応方法
もちろん、妻の詳しい健康情報まで職場に伝える必要はありません。必要な範囲で事情を説明し、業務の調整方法を相談すれば十分です。
職場にとっても、休みの可能性を事前に把握できれば、業務の分担や引き継ぎを考えやすくなります。
なお、育休の申出期限は制度によって異なります。産後パパ育休は原則として開始予定日の2週間前まで、通常の育児休業は原則として1か月前までに申し出ます。勤務先の規定も早めに確認しておきましょう。
育休の伝え方やタイミングについては、こちらの記事でも詳しく紹介しています。
予定日前から少しずつ休みを取っておく
出産予定日が近づくにつれて、夫も仕事の予定を調整しておきたいところです。
予定日直前まで仕事を詰め込んでしまうと、急な対応が難しくなるかもしれません。
私の場合、出産予定日の約2か月前から、業務に支障が出ない範囲で有給休暇を細切れに取得しました。
さらに、業務が一段落した予定日の約2週間前から、育休が始まるまで連続して有給休暇を取っています。
その結果、出産予定日の妊婦健診にも付き添うことができました。実はその健診中に妻が破水し、そのまま入院して出産することになりました。休みを取っていたおかげで、その場ですぐに妻のそばで対応できました。
より詳しい体験談は、著書『パパの育休宣言(準備編)』でも紹介しています。
もちろん、誰もが同じように休めるわけではありません。仕事の状況や職場の制度によって、できることは異なります。
まとまった休みを取るのが難しければ、健診の日だけ休む、予定日の前後に業務を調整する、在宅勤務や時差出勤が可能か相談するといった方法も考えられます。
大切なのは、予定をぎっしり埋めず、急な事態に対応できる時間を残しておくことです。
時間にゆとりがあれば、想定外のことが起きても、落ち着いて家族のために動きやすくなります。
家庭の準備|家族の役割、移動手段、保活を決めておく
家族で役割分担を話し合い、妊娠の時期に合わせて見直す
出産前後は、家事や上の子の世話、入院から退院までの対応など、決めておきたいことがたくさんあります。お腹が大きくなるにつれて妻ができなくなることも増えるため、いざというときに慌てないよう、夫婦で事前に話し合っておくことが大切です。
私の場合、妊娠中期に家族会議を開き、次のことを話し合いました。
- 家事の分担:妻の体に負担がかかる作業や、転倒の危険がある作業は夫が担当する
- 上の子の世話:妊娠が進むにつれて、夫が担当する範囲を増やす
- 出産時の対応:里帰りはせず、第一子と同じ病院で出産する。夫が立ち会い、上の子の世話が必要になったら妻の両親にお願いする
- 切迫早産になった場合:夫が有給休暇を使い、家事や送迎などに対応する
家族会議には、当時3歳の長女にも参加してもらいました。ゴミ捨てなど、長女ができる手伝いを一緒に決めています。
もちろん、3歳の子どもに大人と同じ責任を負わせるわけではありません。家族の一員として、できる範囲で協力してもらうことを大切にしました。
また、妊娠が進むにつれて、お腹が大きくなり、これまで問題なくできていた家事が負担になることがあります。妻の体調や医師の指示に合わせて、担当を見直していきましょう。
私の場合、妊娠後期には、屈む動作が必要なお風呂掃除を担当しました。長女のお風呂も、なるべく私が入れるようにしていました。長女と一緒だと入浴時間が長くなりやすく、浴槽の出入りで長女を抱き上げる際に転倒する心配もあったからです。
家事や育児を引き受けても、帰宅が遅くなってしまえば、家族を支える時間を十分に確保できないことがあります。そこで、仕事もできるだけ定時で帰れるように調整しました。
もしもの時の移動手段を決めておく
陣痛や破水は、いつ起こるかわかりません。夫が仕事中や外出中で、妻が一人のときに起きる可能性もあります。そこで、自分がいる時といない時の両方について、妻と移動手段を決めておきましょう。
私の場合、臨月の妊婦健診には有給休暇を取り、車で病院に付き添いました。
私が対応できない場合に備えて、妻は陣痛タクシーに登録していました。陣痛タクシーは、自宅や産院の情報を事前に登録しておき、陣痛が来たときに産院まで送ってもらえるサービスです。利用条件や対応地域は事業者によって異なるため、事前に確認しておきましょう。
また、次のことも妻と一緒に確認しておくと安心です。
- 産院までの道順と所要時間を自分も把握しておく
- 夜間や休日に使える交通手段を調べておく
- 自分がすぐに駆けつけられないとき、代わりに頼める人を決めておく
- 産院の連絡先や受診の方法を自分のスマホに控えておく
もちろん、緊急時には産院の指示に従うことが大前提です。
保活と支援制度を確認する
育休中の給付金などの国の制度に加えて、保育園の申し込み時期や選考のしくみ、産前産後の家事・育児支援サービスも確認しておきたいところです。こうした地域の制度は、市区町村ごとに違います。
特に保育園は、入れるかどうかで育休期間や復職時期に影響があるので、早めに調べておくと安心です。
私の場合、妊娠後期ごろから区役所に行き、次の2つを確認しました。
- 上の子が保育園に通っていると下の子の選考で有利になる「兄弟加算」
- 下の子の入園が決まらなかった場合の育休延長
実際、育休中に申し込んだ下の子の入園は決まらず、妻が育休を延長して入園の時期をずらすことになりました。
保活は、育休をどれくらい取るか、いつ仕事に戻るかというキャリアの計画に直結します。「入れなかったらどうするか」まで事前に調べておくと、計画どおりにいかなくても次の手を選べます。
まとめ
出産に備えて夫がやっておきたいこととして、次の6つをご紹介しました。
- 有給休暇をストックし、勤務先の制度を確認する
- 上司に早めに共有し、育休も相談しておく
- 予定日前から少しずつ休みを取っておく
- 家族で役割分担を話し合い、妊娠の時期に合わせて見直す
- もしもの時の移動手段を決めておく
- 保活と支援制度を確認する
職場や家庭の状況によって、できることは人それぞれ違います。それでも、できる準備から始めておけば、いざという時に家族のために動きやすくなります。
育休をどのくらい取るか迷っている方は、こちらも参考にしてください。
前例のない職場で、私がどのように育休を決断し、準備したのか。その全記録は『パパの育休宣言(準備編)』にまとめています。


