育休取得を職場に申し出た後、育休取得日までの間、職場でどのように過ごしたらよいでしょうか。
特に、男性の方で育休取得期間が長期にわたる場合、上司や同僚から「半年も休むんだー。バカンスだねー」「こっちは忙しいのにいい身分だねー」なんて声が聞こえてきそうです。
以前、6か月の男性育休を取得した私は、さすがに前述のようなダイレクトな反応はありませんでしたが、そのように思われているかもしれないと感じることがあり、多少居心地の悪い思いをしたこともあります。
少人数の部署や日々多忙を極めている人にとっては、一時的ではあるものの一人減ってしまうため、自分へのしわ寄せが大きくなることでしょう。
一方、仕事を手放す側としては、できるだけ円滑に引継ぎを済ませ、育休取得日まで穏便に過ごしたいものです。
そこで今回は、6か月間の男性育休を取得したキャリアコンサルタントの私が、人間関係を円滑にするための引継ぎや挨拶の方法を実体験を交えてご紹介します。
育休による休職のみならず、退職や異動の際にも役立ちますので、よかったら参考にしてみてください。
なお、育休申出のタイミングや方法について知りたい方は、こちらの記事をご覧ください。
なお、「すぐにでも育休に関する相談をしたい」という方は、育休の問題を解決するためのキャリアカウンセリングを承っていますので、お気軽にご相談ください。
筆者「キャリアリカバー®」プロフィール
- 国家資格キャリアコンサルタント(登録番号16062528)
- 人生が好転、自信がつくキャリア相談(相談実績:2,500人・6,600回以上)
企業・学校・転職エージェント・心療内科クリニック等 - セミナー・講義実績700回以上
企業・学校・心療内科・就労支援機関 - 心療内科クリニック「キャリアデザイン」講師&キャリアカウンセラー
精神疾患や発達課題を抱えた患者さんの復職・就職支援プログラムの企画・運営 - 数多くの失敗や負の経験からの脱却
転職7回・ニート2年・被パワハラ・事業縮小による解雇等 - ワークライフバランス重視
男性育休6か月取得、共働き家庭、二児の父、家事は料理を担当。遊びもゲームもブランクもキャリア♪
育休に専念するためにも、業務の引継ぎを万全に
育休中は職場からの仕事を引き受けない
せっかく育休を取得したのに、育休中も会社と仕事のやり取りをされている方もいらっしゃるようです。
育児・介護休業法上の育児休業制度は、休業期間中の就労は想定されていません。
したがって、原則、会社からの仕事の依頼は断ることができます。
例外として、労使の話し合いによる合意、つまり、会社側が労働者に仕事を依頼し、労働者が合意すれば、就労が可能とされています。
育休取得を予定されている方の中には、復職後の取り扱いや人事考課が気になり、会社側の依頼に応えなければ、と考えてしまう方もいるかと思います。
しかし、ここで仕事を引き受けてしまうと、家事や育児に専念することができなくなり、パートナーや家族に負担がかかる恐れが出てきます。
それが続くと、職場からは育休生活に結構ゆとりがあるのでは、と思われ、仕事の依頼が増える可能性も高まります。
そうなると、在宅勤務中心の生活となってしまい、もはや何のために育休を取ったのかが分からなくなってしまいます。
私が育休を取得した時は、家事・育児に専念したかったため、育休取得が受理されたらすぐに引継ぎのスケジュールを立て、育休開始日までに全業務を引き継げることを目標に、徐々に自分の仕事を切り離しておいたほうが得策であると考えました。
私の育休期間は6か月でしたが、仮に育休期間が1か月程度であっても、可愛い子どものケア、そして妻のケアを最優先に考え、会社からの仕事の依頼は断り、育児に専念したことでしょう。
それぞれの考え方にもよりますが、育休中は仕事を引き受ける必要が無いよう、事前に引継ぎ等をしっかりしておくことをおすすめします。
引継ぎは口頭のみで済ませず、しっかりと引継書を作成
でも、引継ぎってめんどくさいですよね。
ただでさえ沢山の業務を抱えているのに、それを一つひとつ引き継がなければならないなんて。。。
できればサクッと終わらせたいところですよね。
そこで、頭に浮かぶのが口頭のみの引継ぎ。
しかし、私は以前の職場を退職する際、口頭のみの引継ぎを行い、痛い目に遭ったことがあります。
それからは、引継ぎの際には、引継書作成+口頭による説明の両方を行うことにしました。
そして、今回の育児休業時にも同様の引継ぎを行ったため、比較的スムーズに引継ぐことができ、職場の雰囲気を穏便に保つことができました。
引継書作成のメリットは、別記事「育休や異動、退職予定の方必見!仕事の引継ぎ、口頭のみで大丈夫?引継書を作成したほうがいいの?」でご紹介していますので、よかったらご覧ください。
他部署のメンバーに育休を伝えるのはいつ?どんな方法で?
伝えるタイミングは育休が受理・共有された時
上司が育休を受理した後、引継ぎが必要な同じ部署のメンバーにもそれに近いタイミングで伝達されることになるかと思います。
それでは、他部署の職員には、どのタイミングでどのように伝えたらよいでしょうか。
私の経験上、育休取得が受理・共有された後で、最初にその相手と接触した際に直接伝えるのがおすすめです。
受理・共有前の段階で、情報通の方から「育休取るんだって?」と言われることもあるでしょう。
このような時は、質問にすぐ答えず、一旦はぐらかしておくのも一つの方法です。
その後、上司に「私が育休取ることを○○さんがご存じなのですが、公表されているという理解でよろしいでしょうか」など、公表された事実を確認した上で伝えるようにしましょう。
人伝に伝わるよりも、自ら本人に伝えたほうが好印象
一方、上司経由で他の管理職に情報が広がれば、時を経て他の部署のメンバーにも情報が伝わっていきますので、わざわざ自ら連絡しなくても良いという考え方もあります。
しかし、人伝で伝わるよりも本人から直接伝えてもらったほうが嬉しいという方も多いかと思います。
また、人伝を頼りにしていると、誰に伝わっていて誰に伝わっていないのか分からず、モヤモヤしそうです。
後述しますが、自ら全員に伝えておけば、あれこれ余計なことを考えることなく、また、円滑な人間関係をつくるきっかけにもなります。
育休前の挨拶はメールだけにとどまらず、可能な限り多くの職員に対面で
メールで挨拶する際の内容は?
退職前にメールで挨拶するケースが多いかと思います。
従業員数が多い職場だったり、全国に複数の支店があるなど職場が離れてたりしても、挨拶できる利点がありますよね。
私は休みに入る1週間前、全員に下記の内容をメールしました。
- 育児休業取得期間と復職日
- 育休取得により迷惑をかけることへのお詫び
- 育児休業取得を理解してもらったことへの感謝
- 一人ひとりに挨拶できず、メールでの一斉送信になることへのお詫び
職場の人間関係によって好き嫌いがあるかと思いますが、上記の内容はどのような関係性であっても送付しておくとよいでしょう。
なお、このメールとは別に、親しい人向けにメールを送付する場合、具体的な話題を綴っておくと受け取った人は特別感を得られます。
対面によるコミュニケーションもまだまだ重要
男性育休への理解は、少しずつ浸透されつつありますが、まだまだ歓迎的ではない会社も多いと思います。
そのため、申し訳ない気持ちや気まずさが先立ち、批判を浴びたくない気持ちから、メールだけの挨拶で終わってしまいがちです。
しかし、その方法では気まずい気持ちのまま育休に入ることになり、もやもやした後ろめたさを引きずるケースもあるでしょう。
そんな思いを解消するためにも、感謝の意をより相手に伝わるようにするためにも、可能な相手には対面による挨拶もするとよいでしょう。
対面挨拶と菓子折りのセットが効果的
対面挨拶の際、挨拶のみで済ますのではなく、お菓子を用意することをおすすめします。
このとき、お菓子は個包装タイプのものを選択しておくとよいでしょう。
一人ずつお菓子を手渡しをするとともに、感謝の意を伝えることができ、気まずさが緩和される効果も期待できます。
私も、育休に入る前にお互いの関係が円滑になることを期待して、可能な限り職場のみなさんに、お菓子持参による対面の挨拶を行いました。
先述の通り、事前に育休一斉メールを送付していたこともあり、スムーズに挨拶ができ、育休取得に好意的でない方の反応も柔和に。
また、普段話すことのなかった職員と、これをきっかけにプライベートの話をするようになり、復職後も距離の縮まった関係を築いた例もありました。
育休取得日まで肩身の狭い思いで過ごすことになりそうな方は、こちらのコラムを参考に、一日でも安心して過ごせる日が増えることを願っています。
なお、本サイト運営のキャリアリカバーでは、ライフキャリアの充実を目指す方やキャリア上のお悩みを抱えている方などに、国家資格キャリアコンサルタントによる育休のビフォーアフターや育休復帰後の働き方に関するキャリア相談を行っています。
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